
長い人生、知り合いが突然入院する事もあるでしょう。
親しい友人なら気さくにお見舞いに行けますが、それが会社の上司等「特別親しいわけではないが、普段お世話になっている人」ではどうでしょうか。
この場合、多くの方がお見舞いのお花だけでなく「お見舞金」も準備すると思います。
今回はいざという時に迷わないように「お見舞金」に焦点を当て、お金の包み方や表書きの書き方、その他諸々のマナーをご紹介していきたいと思います。
目次
入院お見舞いで使う袋(封筒)は?
お見舞いと言えばお花が定番ですが、場合によってはお金を包んで持って行く場合もあります。
このような「お見舞金」は、決して安くはない入院費用を支払っている「お見舞いされる側」からしてもありがたいものです。
といっても、それは「早く元気になってくださいね」という願いを込めて渡すもの。
財布からお金だけ取り出して「はいどうぞ」と渡すだけではこの想いは伝わりません。
そこで、まずはお見舞金を包む袋についてご紹介したいと思います。
入院お見舞いにはどんな袋(封筒)を使う?
お見舞金は必ず
- 「紅白の水引のある封筒」
- 「白い無地の封筒」
- 「赤い帯のある『お見舞い用』の封筒」
に入れて渡すようにして下さい。
裸金で渡すのはマナー違反というだけでなく、お見舞いの気持ちが相手に伝わらないので絶対にやめましょう。
ただし「水引のある封筒」を使う場合、水引があれば何を使っても良いというわけではありません。
水引の結び方にはそれぞれ意味があるので、間違った使い方をしない為にもここで水引の代表的な3つの結び方の意味を知っておきましょう。
まずは「蝶結び」
これは「花結び」とも呼ばれており、何度も簡単に結び直しが出来る事から「繰り返し同じことが起こりますように」という願いが込められた結び方になります。
つまり「ご祝儀」や「出産祝」等の『お祝い事』で使う水引で、間違っても「お見舞金」を包むのに使ってはいけません。
お見舞金を包むのに蝶結びの水引封筒を使ってしまうと「何度も病気になりますように」という意味になるので要注意です。
次に「あわじ結び」
これは結び目が鮑に似ている事から「鮑結び」とも呼ばれています。
「蝶結び」とは反対に解きにくく結び直しがしにくい事から「今回だけで終わりますように」という「繰り返しを願わない」時に使われる結び方です。
お見舞金を包む際に適している水引といえるでしょう。
そして最後に「結びきり」
これも「あわじ結び」と同様に固く結ばれて解きにくい事から「繰り返す事が無いように」という願いの込められた結び方になります。
こちらもお見舞い金を包むのに適した水引です。
お見舞金を包む際に水引のある封筒を使う場合は「蝶結び」は避けて「あわじ結び」か「結びきり」の水引の封筒を使うようにしましょう。
入院お見舞いの袋(封筒)に熨斗(のし)は付けない
お見舞金を入れる封筒でもう一つ注意しなければならない事があります。
それが「熨斗(のし)がついている封筒は使わない」という事です。
熨斗とは封筒の右上にある赤色の入っている紙で細長い何かを包んでいるような飾りを指します。
この「細長い何か」は薄く伸ばした(あわび)「熨斗鮑(のしあわび)」を指しており、昔はこの「熨斗鮑」を祝いの席で送ったことから「熨斗」は「縁起物」の象徴とされているのです。
今でも鮑(あわび)は高級品ですが、冷蔵庫も何もなかった昔は保存がきくだけでなくとてもおいしい鮑は「超高級品」とされていました。
超高級品なだけに、例え祝いの席だとしても毎回は準備する事が難しかった為「熨斗鮑の代わりで申し訳ないですが…」という意味を込めて熨斗が付けられるようになったと言われています。
他にも「熨斗鮑で美味しいお酒を飲んでくださいね」という意味もあると言われていますが、いずれにしてもプラスの意味を持っている熨斗鮑。
これが書かれている熨斗付きの封筒は「お祝い事」でしか使ってはいけないので、お見舞金を包む際には封筒に「熨斗が書かれていない事」を必ず確認しましょう。
お見舞いに紅白の水引を使ってもいいの?
これまで水引のある封筒について触れてきましたが、中には「『紅白の』水引のある封筒」という言葉に「紅白はめでたい時に使うんじゃないの?」と引っかかりを覚えた人もいるかもしれません。
確かに入院はめでたい事ではありませんが、お見舞金を包む際の紅白の水引には「貴方の回復を願っています」という意味があるのです。
なのでお見舞金の封筒に「紅白の水引」を使用しても何らおかしい事はありません。
どうしても気になるという場合には、赤帯のお見舞い用封筒か白無地の封筒を使うと良いでしょう。
入院お見舞いに使うのし袋、表書きの書き方はこう書く
封筒を準備した後に気になるのが「表書き」
一般的にお見舞金の表書きには「御見舞」という言葉と「自分の名前」を書きます。
最近はパソコンで印刷する人が増えていますが、手書きをする場合には必ず筆か筆ペンを使って下さい。
使いやすいからとボールペンで書くのは「マナー違反」です。
筆ペンが無い…という場合にはボールペンではなく、太めのフェルトペンやサインペンをを使いましょう。
また「御見舞」は「御伺」と書く場合もありますが、間違っても「御見舞い」と書かないように注意して下さい。
「御見舞い」は4文字で「死」をイメージさせる為、お見舞金を包む表書きとしてはタブーとされているのです。
また、名前も忘れないようにしましょう。
名前を書き忘れてしまうと「あれ?これ誰に貰ったんだっけ?」と相手を悩ませてしまいかねないので…。
連名で書く時のマナーは?
2~3人で一緒にお見舞金を包む際「名前ってどう書けば良いの?」と思った事はありませんか?
この場合は一番右に目上の人が来るように、全員の名前を書いて下さい。
ただし、夫婦や家族で連名する場合には一番右に家長の名前をフルネームで書き、妻や子供達は課長の名前の横に「名前だけ」を書くようにします。
家族の連名の場合は家長以外の苗字を書く必要はありません。
4名以上の連名の表書きのマナー
連名といっても、あまりに人数が多いと書く方も読む方も大変です。
4名以上の連名の表書きは表に代表者の名前だけを書き、その左横に「外一同」と書くようにしましょう。
全員の名前は表書きではなく別紙でお金と一緒に入れておくのが4名以上で連名する場合のマナーになります。
お見舞金の封入金額をのし袋や封筒に記入した方がいい?
結婚式のご祝儀などで中袋に金額や住所、名前を書いた事がある人も多いと思います。
結婚式等で一度に多くの祝儀袋を集める場合には、取り違えを防ぐ為にこれらの情報が必須とされていますが、お見舞金の場合には封入金額は書いても書かなくても構いません。
さらに言えば、お見舞金の場合には住所を書かずに表書きの名前だけでも良いとされています。
ちなみに袋の裏に住所を書く欄が設けられているものの場合、ワザと空白にしておくとあまり印象が良くないので欄があるのであれば書いておく方がベターです。
もちろん書かないより書いた方が良いですが、見舞金の袋書きは結婚式のご祝儀程厳密でなくても良いという点だけ覚えておくと良いでしょう。
お見舞いには新札を用意した方がいいの?
ここまでがお見舞い金の包みのマナー。
次は包む「お金」について触れていきます。
予算は親族や知人、会社関係の人で違ってくるので以下を参考にしてみてください。
・入院お見舞い金、一般的な相場は?身内、友人、仕事関係での違いは?
入院お見舞いのお札、新札にした方がいいの?
お見舞金の金額が決まったところで、次に気になるのは「新札」で包むか「旧札」で包むか。
結婚式はお祝い事だから新札だし、お葬式はお祝い事ではないから旧札という認識は多くの人が持っているでしょう。
では「お見舞金」はどうなのか。
実はお見舞金のお札に関しては明確なマナーは存在しません。
お葬式のように不幸ごとに事前に準備していたと思われないように旧札を包むべきだという意見もあれば、早く治って欲しいと言う気持ちを込めて新札が良いという意見もあるのです。
どちらの意見も納得のいく根拠があるのでどちらが正しいとは言えませんが、旧札を包む場合は受け取った人の気持ちを考えてボロボロのものではなくて比較的新しいものを包むと良いでしょう。
また、私は新札を包むようにしていますが「新札はちょっと…でも旧札も抵抗が…」という人がいれば、新札を1回だけ折って包む事をお勧めします。
そうすることで相手に「気持ちを込めて新札を準備したけど、事前に用意していたと思われたくないから1回折って包みました」というあなたの気持ちが伝わると思います。
包むお札が新札でも旧札でも、要は「気持ち」が相手に伝われば良いのです。
お見舞いの袋(封筒)にお金を入れる時のマナーは?
さて、袋の準備もお金の準備もできました。
この後迷うとすれば「お金の入れ方」でしょう。
お札は、お葬式以外では人物の印刷がある方を封筒の表かつ上側に来るようにして包むのが一般的と言われていますが、お見舞金については特に明確なマナーはありません。
ただ、表裏上下バラバラでの封入は決して好印象ではないので、向きを揃えて一般的な封入方法で包む事をお勧めします。
入院お見舞いでのお金を包み方、のし袋・封筒の表書きの書き方と入れ方のマナーのまとめ
いかがでしたでしょうか。
結婚式やお葬式に比べるとあまり厳密ではありませんが、お見舞金にもある程度マナーがあります。
最も気をつけなければならないのは封筒で「紅白の『あわじ結び』または『結びきり』の水引の封筒」か「白無地の封筒」または「赤い帯の入ったお見舞い用の封筒」を使用する事。
その際「熨斗の無い」事が大前提となる事も忘れてはいけません。
そして表書きは下部に名前書いて上部に「御見舞」または「御伺」と書いて、「御見舞い」と4文字で書く事は絶対にしない事。
お見舞金を包む際の明確なマナーとしては以上です。
ここさえ覚えておけば、相手と多少認識が違っていたとしてもお見舞いの気持ちが伝われば、それは十分にお見舞金としての役割を果たしているといえます。
お見舞金を準備するうえで一番大切なのは、相手に「早く回復してほしい」と願う気持ちなのです。