
皆さんは「続柄」と「あなたとの続柄」が違う意味を持つ事をご存じでしょうか。
私はつい最近までこの二つは同じ意味だと思っていました。
市役所に提出する書類や公的な書類等でよく見かける「続柄」という言葉。
今回はこの「続柄」についてまとめてみました。
目次
「続柄」の意味は?読み方は?
「続柄」は公的な書類を書く際によく目にする言葉ですが、これは血縁や婚姻による関係者、つまり「家族」を指す言葉になります。
この漢字を「ぞくがら」と読む方も多いと思いますが、実はこの読み方は間違い。
正しくは「つづきがら」と読みます。
辞書で「ぞくがら」と引いても出てくるので「間違いじゃないじゃないか」と思う方もいるかと思いますが、そんな方は「続柄(ぞくがら)」の意味をちゃんと読んでみて下さい。
恐らくそこには「つづきがらに同じ」といった記載があるのではないでしょうか。
そう、正しい元々の読み方は「ぞくがら」ではなく「つづきがら」なのです。
中には「ぞくがらと読むのは間違い」と記載されている辞書もあるんです。
ではなぜ「ぞくがら」という読み方が浸透しているのでしょうか。
昭和48年に公表された、常用漢字の読み方や記載方法を示す「内閣告示第2号」によると「続柄」の正しい表記は「続き柄」とのこと。
以前はこの「続き柄」という表記が一般的に使われていたようですが、一部市役所などの内部書類で「き」を抜いた「続柄」と言う表記が使われ始めた事から「ぞくがら」という読み方が生まれたと考えられています。
そして「続き柄」ではなく「続柄」という表記が一般的になった現在、10人にこの漢字の読み方を聞けば7~8人は「ぞくがら」と答えるでしょう。
このような経緯がある事や、殆どの人に通じる読み方であるという点を考えれば「ぞくがら」という読み方は単なる間違いではなく、「つづきがら」と言う読み方が時代によって変化したものであるとも考えられます。
もしかすると、近い将来「ぞくがら」が正しい読み方になる日が来るかもしれません。
読み方についてはどちらでも通じるので絶対に知っておかなければならないという事はありませんが、この事を知っていれば「つづきがら」と言われて「え?つづきがらって何?ぞくがらじゃないの?」と焦る事はまずないでしょう。
それにちょっとした話のネタにもなるので、豆知識として知っていて損はないと思います。
「続柄」と「あなたとの続柄」の違いについて
ではここで「続柄」と「あなたとの続柄」の違いに触れていこうと思います。
一見すると同じ事を指しているように見えますが、実は「あなたとの」がついているのといないのとでは意味合いが大きく違ってくるのです。
「あなたとの続柄」は、その名の通り「あなた」からみて「対象となる人物(家族)」の関係を指すもの。
例えばあなたが4人家族でお父さんとお母さん、そして妹がいたとしましょう。
この場合「あなたとの続柄」は、お父さんであれば「父」でお母さんなら「母」、そして妹の場合は「妹」となります。
ちなみに「私」は「本人」です。
一方で「あなたとの」がついていない単なる「続柄」の場合では表記が異なります。
というのも「続柄」だけの場合は「世帯主(戸籍の場合は戸籍筆頭者)との続柄」という意味になるからです。
つまり、お父さんが世帯主であればお父さんの続柄は「本人」となり、お母さんは「妻」
そして私と妹はどちらも「子」という表記になるのです。
戸籍上でいえば「私」と「妹」はそれぞれ「長女」「二女」との表記になりますが、基本的にはどちらも「子」で問題ありません。
公的な書類の違いで言えば年末調整では「あなたとの続柄」が問われ、戸籍や住民票、確定申告の場合は「続柄」が問われると覚えておくと良いでしょう。
「続柄」の書き方一覧
先程も簡単な続柄の書き方をご紹介しましたが、ここで続柄の書き方について詳しくご紹介していきたいと思います。
まず本人や配偶者の続柄の場合ですが、本人はもちろん「本人」
配偶者は「夫」または「妻」になります。
では最近増えてきている「事実婚」の場合もこの表記で良いのでしょうか。
この場合はそういう訳ではありません。
事実婚の場合は「夫(未届)」「妻(未届)」という表記になるのです。
また、子供の表記も「実子」か「連れ子」で変わります。
実子の場合は「子」だけで良いのですが、連れ子で養子縁組をしていない場合には「夫(妻)の子」となります。
連れ子でも養子縁組をしていれば「子」の表記だけで大丈夫です。
ちなみに事情があって届け出が出来ない子供の場合や養子縁組の手続きを行っていない「事実上の養子」の場合は「縁故者」となるそうです。
なお、事実上の再婚状態で子供が出来た場合には「夫」や「妻」の横に(未届)の表記がついて「夫(未届)の子」といった表記になります。
ちなみに孫の表記は「孫」ではなく「子の子」
同様に祖父や祖母も「祖父(母)」ではなく「父(母)の父」「父(母)の母」といった記載となるので覚えておくと良いでしょう。
「父の~」になるか「母の~」になるかは、対象の祖父母が父方か母方かで変わります。
この考え方を知ると、叔父や叔母の表記も分かりやすいかもしれません。
この場合は「叔母」や「叔父」ではなく「父(母)の姉(妹)」「父(母)の弟(兄)」という風になるのです。
そしていとこの子供やはとこ等、血縁が遠くなると「父(母)の~」ではなく「縁故者」となるのだとか。
では、義理を含む両親や兄弟の表記についてはどうなるのでしょうか。
まず本人の両親や兄弟はそのまま「父(母)」「兄(姉・妹・弟)」で良いですが、義理となるとこれに「妻(夫)の~」がつきます。
これは義理の姉が2人いたとしても「妻(夫)の長女(二女)」と書く必要はなく、どちらも「妻(夫)の子」で大丈夫だそうです。
ちなみに血縁や婚姻関係のないただの同居人の続柄は「同居人」になるとのこと。
「続柄」の正式名称については一見するだけでは複雑で難しそうに見えますが、法則が分かると案外覚えやすいのかもしれません。
「続柄」の書き方まとめ
「続柄」の正しい読み方は「つづきがら」ですが、一般的には「ぞくがら」が浸透している現在においては今後「ぞくがら」が正しい読み方になるかもしれません。
また「続柄」と言っても「続柄」だけの場合と「あなたとの続柄」では記載内容が変わってくるので要注意。
更に「続柄」を記載する場合は「義父(母)」や「祖父(母)」、「孫」ではなく、「妻(夫)の父(母)」や「母(父)の父(母)」、そして「子の子」など少し長い表記になる事も覚えておきましょう。
続柄の記載で迷った場合には、この記事の事を思い出して参考にして貰えると嬉しいです。