
先日スーパーで安売りしていた魚を大量買いしたのですが、余りを放置してしまって気が付けば消費期限が切れていました。
とは言っても1~2日程度だったので「火を通せば大丈夫かな」と思ったのですが、それを見た夫に「消費期限が過ぎた魚を食べるんじゃない!」と言われ泣く泣く処分…
一人暮らしの時には冷蔵庫に必要な分の食糧しか入れていなかったので「うっかり消費期限が過ぎてしまっていた」なんて事は無かったのに、家族が増えて庫内の食糧が増えると「うっかり」が増えてしまって…
この気持ち、主婦の方には分かっていただけるのではないでしょうか。
もちろん消費期限が1週間前のものを見つけた時は食べないようにしていますが、1日2日くらいなら何とかいけるんじゃないか…と思うのです。
そこで、今回は魚の消費期限と保存方法についてまとめてみました。
目次
魚に表示されるのは消費期限と賞味期限のどっち?
食品に表示されるものとして、消費期限と賞味期限の2種類がある事は多くの方が知っている事でしょう。
では、この2つの違いについてはご存じでしょうか。
私の知人に聞いてみると「賞味期限は過ぎても食べられるけど、消費期限は過ぎたら食べられない」との回答が返ってきました。
この回答は正解なのでしょうか。
賞味期限と消費期限についてそれぞれ詳しく解説していきます。
賞味期限について
先ずは賞味期限ですが、こちらは「未開封の状態で適切に保存した場合においしく食べられる期限」を指します。
賞味期限はお菓子や缶詰、飲み物など悪くなりにくい食品に記載される事が多く、多少期限が切れても食べられます。
消費期限について
次に消費期限ですが、こちらも「未開封の状態で適切に保存した場合に」までは賞味期限と変わりません。
これに続く言葉が少し違っていて「安全に食べられる期限」を消費期限と言うそうです。
消費期限表示は主にお弁当や生鮮食品、ケーキなど、遅くても期限から5日以内には食べた方が良い傷みやすい食品によく使われていると言われています。
これでいうと、知人の回答は正解でもあり不正解でもあると言えるでしょう。
小さいお子さんがいる家庭は特にこのような期限を気にする事が多いと思いますが、どちらにも言える事は「開封したら早めに食べる」こと。
開封すると空気に触れて食品の状態も変わります。
賞味期限にせよ消費期限にせよ、表記されている期限はあくまで「未開封」の状態についての情報である事を覚えておきましょう。
消費期限切れの魚は期限切れ何日後まで食べられる?
未開封で適切な方法で保存している食品は、消費期限が切れていても食べられる場合があります。
もちろん期限内に食べるに越したことはありませんが、買った事を忘れてうっかり放置してしまって…という経験がある方にとっては朗報ではないでしょうか。
では、魚の場合はどのくらいまでであれば消費期限が切れても食べられるのでしょうか。
実は「消費期限が切れても〇日以内であれば食べられる」という明確な基準はありません。
なぜなら魚などの生鮮食品は、同じ日に出荷したとしても個々で傷むスピードが違うからです。
ただ一つ言える事は、消費期限から4日以上経ったものは危険なので食べないようにしましょう。
消費期限から1~2日以内であれば、見た目や臭いに異変が無ければ食べられる場合があります。
しかし、お刺身などの生魚は念のため火を通して食べる方が良いでしょう。
消費期限切れから3日経ったものは、黄色信号なので心配であれば食べない方が無難です。
なお、消費期限翌日でも明らかに色が変色していたり臭いが変だった場合、悪くなっている可能性が非常に高いので例え火を通したとしても食べないようにして下さい。
魚の場合には、消費期限を目安として鮮度を見て食べられるか食べられないかを自身の目で判断することが必要です。
魚の消費期限ってどうやって決まるの?
先程「魚などの生鮮食品は個々で傷むスピードが違う」とお伝えしました。
しかし、店頭で魚の消費期限を見るとどれも同じくらいの日付が印字されています。
商品を一つ一つチェックして消費期限を設定するのは、消費者にとってはありがたい事ですが、店舗としてはそこまで手間をかける事が出来ません。
消費期限表示には明確な設定基準はなく、店舗が所定の検査基準を満たす日数となるように一括で設定している場合が多いのだとか。
よって「出荷から〇日目」を消費期限とするのではなく「店頭に置いてから2~3日」を目安に消費期限が設定されている事が多いそうです。
店舗が消費期限を設定するという事は、出荷から店舗に届くまでにどのくらい日数が経っているかによって同じ消費期限でも商品の鮮度が違ってくるという事。
海が近かったり、直売している店舗はそこまで気にすることは無いかもしれませんが、鮮魚の場合は店頭に置かれた時点で既に出荷から1~2日経っていると考えておいた方がよさそうです。
消費期限の記載がない魚ってどうしたら良い?
スーパーなどでパック詰めされている魚は、食品衛生法やJAS法によって「商品名」「原産地」「消費(味)期限」「保存方法」「加工所の所在地と加工者」そして生食の場合には「生食表記」、養殖や解凍であれば「養殖(解凍)表記」が義務付けられています。
ただし、お刺身の盛り合わせについては様々な漁場からの魚が混在しているため、原産地表記だけは書いても書かなくても良いそうです。
このようにスーパーのパック商品では必ず「消費期限」の印字がありますが、鮮魚コーナーや個人の対面販売のお店では、市場のようにパック詰めされていない魚がそのまま売られている事が多々あります。
この場合は魚本体に消費期限を印字するわけにはいかないし、文字通り「対面」して商品のやり取りが出来る安心感があるからか消費期限を記す義務はありません。
ただし、何も表記しなくて良いという訳ではなく「商品名」と「原産地」の表記は必須。
そして養殖や解凍ものの魚の場合にはその旨の記載も必要となります。
対面販売やスーパーの鮮魚コーナー等で消費期限の表記が無い魚を購入する場合には、その日のうちに食べる事が一番ですが、心配であれば販売員の方にいつまで食べられるかを尋ねてみると良いでしょう。
自分で釣った魚の消費期限が知りたい!
スーパーの鮮魚コーナーや個人の対面販売の店舗などでは、例え消費期限の表記が無くても販売員に聞けばいつまで安心して食べられるかを知る事が出来ます。
しかし、自分で魚を釣った場合はどうでしょうか。
釣りが趣味の方であれば、魚の状態を見て「まだ食べられる」「もう食べられない」という判断は出来ると思いますが、そうでない場合には「いつまで安全に食べられるか」なんて分かりません。
多くの人が「新鮮なうちに!」とその日のうちに全て食べきってしまう事でしょう。
もちろんその日のうちに食べるのが新鮮でおいしいのは分かっていますが、だからと言って釣った魚を無理やり全部食べるのはなんだかもったいない気も…
そこで、自身で魚を釣った場合の保存方法や安心して食べられる期限について調べてみました。
釣った魚を長く保存しておきたい場合にお勧めの保存方法は「干物」にする事です。
「干物を作るとなると面倒そう…」というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、干物は案外簡単に作れます。
下処理さえしてしまえば、5%くらいの塩水に30分ほど漬けた後に表面がサラサラになるまで乾かすだけ。
天日干しが理想ですが、ベランダが無い家庭もあるでしょう。
その場合は、脱水シートを使うと冷蔵庫でも簡単に干物が作れるのでお勧めです。
ちなみに干物にすれば冷蔵庫で約半月、冷凍保存にすると1か月程保存が出来るので、釣果が大漁だった場合にはもってこいの保存方法です。
しかし「せっかくだから干物じゃなくって新鮮な状態で少しでも長く保存したい」という方も多いでしょう。
その場合、家に帰ってから魚の処理をしようとするのはあまりお勧めしません。
何故なら新鮮でおいしい状態を長く保つ為には「〆たタイミング」が重要だから。
釣った後すぐに延髄と動脈を絶ち、血抜きをする事によって身が生臭くなることを防ぎ、イノシン酸(IMP)を多く生成する事でおいしさを保つことができるのです。
これを活〆と呼ぶのですが、少しでも長く新鮮な魚を味わいたいのであれば釣ったらすぐに活〆にして氷水でしっかりと冷やしましょう。
このように活〆をするだけでも魚を長持ちさせる事が出来ますが、〆た後すぐに内臓を取り出せれば完璧です。
ちなみにIMPとは魚の体内にあるアデノシン3リン酸(ATP)という成分が分解されて作られる旨味成分の事。
IMPの元となるATPは魚のストレスや体力の減少によって減ると言われているので、魚が元気でストレスの少ない「釣り上げた直後」に〆る事によって、より多くのIMPという旨み成分を引き出す事が出来るのです。
活〆をして内臓を取り出した魚は、家に持ち帰った後でエラやウロコを落としてラップなどでしっかり密封すれば冷蔵で3~4日程度は美味しく食べる事が出来るでしょう。
釣ってから3~4日後に「臭いや色は変わらないけど、そのまま食べるのはちょっと不安…」という場合には加熱処理をして食べることをお勧めします。
ただし、サバやイワシやアジなどの青魚は足が速い(傷みやすい)ので、3~4日ではなく1~2日で食べきるようにして下さい。
魚の正しい保存方法~冷蔵庫編~
魚の保存については「冷蔵庫に入れていたら大丈夫でしょ」と思う方が多いようですが、ただ冷蔵庫に入れただけの魚と「正しい保存方法」で冷蔵庫に入れた魚では鮮度に大きな違いが出るそうです。
何故なら冷蔵庫の一般的な温度は3℃前後ですが、この温度は魚の保存に対して適切な温度ではないから。
適当に冷蔵庫に入れておいたら翌日に悪くなっていた…なんてことは無いと思いますが、味は確実に落ちると言われています。
そこで魚の正しい冷蔵庫での保存方法を調べてみました。
魚に最適な保存温度は0℃。
ただし、他の食品も保存してある冷蔵庫内を0℃に設定する事はなかなか難しいものです。
そんな時には「アルミバット」と「保冷剤」を使ってみてはいかがでしょうか。
アルミバットの上に魚を置いてその周りに保冷剤を置く事で、庫内の温度を変更せずに魚の周りだけ低い温度にする事が出来ます。
もちろん魚を触る時には必ず手を洗いましょう。
そして流水で魚の汚れを落とし、キッチンペーパーでしっかりと水気をふき取ってください。
水気が残ってしまうと、その部分から劣化が始まってしまうので要注意。
魚は空気に触れても劣化してしまうので、水気をふき取った後はラップか保存バッグでしっかりと密閉する事。
この時、魚どうしが重ならないように注意しましょう。
重なってしまうと、そこからバクテリアが繁殖してしまう危険性があります。
その後に、アルミバットに乗せて周囲に氷や保冷剤を置けば完璧です。
少し手間かもしれませんが、このひと手間を加えるか加えないかで味に大きな差が出てしまうので、魚を安全においしく食べる為にも手間を惜しまずにチャレンジしてみましょう。
魚の正しい保存方法~冷凍庫編~
魚は生のままでは数日で悪くなってしまう為、昔内陸に住んでいた人達は生魚を食べる機会が殆どありませんでした。
しかし技術が発達して「冷凍」が可能になった現代では、全国各地で生鮮・解凍の別はあるものの生魚を食べる事が出来るようになりました。
つまり数日で悪くなってしまう魚でも、正しい方法で冷凍保存をすれば賞味期限を1か月程まで延ばす事が出来るようになったのです。
ではどのように保存すれば良いのかをこれからご紹介していきます。
まず、大切な事は「解凍」ではなく「生」の魚を使う事。
解凍した魚は絶対冷凍してはいけないという訳ではありませんが、一度冷凍して解凍した魚をもう一度冷凍すると鮮度はもちろん、味や栄養分も落ちてしまうのであまりお勧めしません。
魚を丸ごと一匹購入した場合や自分で釣ってきた場合は、先ず内臓とエラ、そしてウロコを取りましょう。
次に、余計な水分をキッチンペーパーでふき取ってください。
パック詰めの魚を購入した場合も同様にキッチンペーパーで水分をふき取りましょう。
よくパックのまま冷凍庫に入れる方がいますが、パックのまま冷凍すると凍るまでに時間がかかって解凍時にうまみ成分が流出してしまったり、パック内に溜まったドリップという魚の水分が臭みに変わってしまう為、せっかくの魚の味が落ちてしまいます。
必ず、パックから出して冷凍しましょう。
魚を冷凍する際にはラップや保存バッグに入れてしっかりと空気を抜く事も忘れてはいけません。
空気に触れると魚が傷みやすくなってしまうので、しっかりと空気を抜いてください。
あとは冷凍庫に入れると完了ですが、この時魚をアルミバットの上に置いて急速冷凍で冷凍すれば言う事はありません。
アルミバットと急速冷凍を使って素早く冷凍する事で、より新鮮さをキープする事が出来るのです。
冷凍した魚の正しい解凍方法ってあるの?
正しい方法で冷凍したから解凍は適当でも大丈夫…なんて事はもちろんありません。
解凍方法によってそれぞれ正しい手順があるのでご紹介していきたいと思います。
先ずは「冷蔵庫で解凍」する場合。
これは冷凍した魚を解凍してマリネや刺身にして食べたい場合に特にお勧めの方法です。
冷蔵庫解凍は解凍時に出るとされているうまみ成分や臭みの元となる「ドリップ」が流れ出にくいので一番美味しく解凍できる方法と言っても過言ではないでしょう。
ただし解凍までに5~6時間と時間がかかるので、早めに冷蔵庫に移す事をお勧めします。
次にご紹介するのが「自然解凍」での解凍方法。
この方法は冷蔵庫で解凍するより早く解凍でき、熱を加えないので冷凍した魚をマリネやお刺身で食べたい場合にも適しています。
ここで注意すべきポイントは2つ。
1つ目は「開封しない事」
開封してしまうと、空気に触れたところと触れていないところで温度差が生じてしまい、
空気に触れた部分から大量にドリップが流出してしまいかねません。
そして2つ目が「冷暗所で解凍する事」
少しでも早く解凍したいからと日の当たる窓辺に置くのはNGです。
そうすると魚の表面と内部の温度差が大きくなってしまい、こちらも大量にドリップを流出させてしまう原因となります。
よりおいしく食べる為にも、開封せずに冷暗所で解凍するようにしましょう。
次にご紹介するのは「流水解凍」です。
これは読んで字のごとく流水に晒しながら解凍するという解凍方法。
熱を加えずに冷蔵庫解凍や自然解凍より早く解凍できるというメリットがあります。
流水は面倒だからと溜めた水に冷凍した魚を浸すのは、味が落ちる原因となりますので絶対にやめて下さい。
流水解凍は冷凍したままの状態の魚をビニール袋に入れ、弱い水流で20分~30分かけて解凍するのがベストです。
最後にご紹介する解凍方法は「急速解凍」です。
これは電子レンジを使って解凍する方法で、ワット数にもよりますが大体100gあたり30秒~40秒程で解凍できます。
この方法で解凍する場合には、ラップや保存バッグから魚を取り出してペーパータオルを敷いた器に乗せて解凍しましょう。
この方法での欠点は、早く解凍できる代わりに解凍時間が長すぎると魚に熱が入ってしまったり、解凍ムラが出来る点。
煮魚や焼き魚にする場合には多少解凍ムラや魚に熱が入っても大丈夫かもしれませんが、マリネや刺身にする場合にはあまり向かない解凍方法かもしれません。
まとめ
魚をおいしく食べる為には早めに食べる事が一番ですが、うっかり冷蔵庫に入れて忘れてしまった物などでも、色や臭いが変わっておらず消費期限が1日~2日前くらいのものであれば食べられる場合もあります。
消費期限が過ぎてしまった魚は生食で問題ない場合もありますが、念のため熱を通して食べた方が良いでしょう。
また同じ魚でも保存方法に少し気を遣うだけで長持ちしたり、よりおいしく食べられる事もお分かりいただけたのではないでしょうか。
少し手間をかけるだけで、鮮度を保ち美味しく食べられるのであれば安いもの。
買ってきたり釣ってきた魚ですぐに食べきれない場合には、下処理をしっかり行って正しい冷蔵(または冷凍)方法で保存するようにしましょう。